天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
「二カ月くらい前にこっちに帰ってきたの。もういいかなと思って。でも、ひと月くらい前かな。突然マンションにあの人が訪ねてきたわ。もちろん追い返したけど、その後も待ち伏せされてね」

 子どもを認知する話はどうなったのかと聞かれたという。

「責任を取らせるから啓介と結婚しろとまで言ったわよ、あの人。私たちが兄妹だとも知らずにね」

 どうやって母は小鶴の居場所を突き止めたのか。仮に調査会社に頼んだとはいえ、二年経っても探し続けるとはやはり普通じゃない。

 しかも、俺と小鶴を結婚させようと目論むとは。

 思わず頭を抱えた。

「結論を出すまで通い続けるって言われたし、実際毎日のように来た。しつこさを通り越して異常ね、あんたの母親病気よ」

 乾いた声で笑った小鶴は「さすがだわ」と吐き捨てた。

「私の母を死ぬまで追い詰めただけあるわね」

 コーヒーが届き、小鶴はミルクを落とす。

 白い渦が黒いコーヒーの中に消えていくさまを、俺はジッと見つめた。

 病気か。そうかもしれないな。

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