天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 つける薬のない不治の病かもしれない。母が父の愛情に執着するの姿は異常だ。このコーヒーのようにすべてを憎悪に変えて闇に飲み込んでしまう。

「それでお前の素性を話したのか?」

「そうよ。じゃないと納得しないもの、あの人。私はあなたのご主人の隠し子よって言ったわ。私の母の写真も見せた」

 小鶴のスマホにある小鶴の母と幼い小鶴の写真は、以前俺も見た。

 幸せそうな母子の姿がそこにあった。

 小鶴の告白を聞いた母は『子どもまでいたの!』と鬼の形相になったという。

「すごかったわ『よくも私を騙したわね』って、鬼の形相でね。食いしばった唇から血が流れた。首を絞められて殺されると思った。それで咄嗟に警察を呼んだの」

 そこまで言って、小鶴は溜め息をついた。

「私の母が、どうして私を祖父母に預けたかよくわかった。あの人から私を守るにはそうするしかなかったのね。あなた達があの人と私を会わせたくなかった理由も」

 返事の代わりに俺は頭を下げた。小鶴の言う通りだから。

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