天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
「安心して、彼女。今でも啓介を信じてるって言ってたわ」



 小鶴と別れ喫茶店を出た。

 今日はほかに用事はない。夜は久々に仁の店に行くつもりだがそれまでどうするか。

 とりあえず本屋に行くと決め歩き出した。

『莉子さん元気そうだったわよ。仕事の用事だったみたい。パリッとスーツを着こなして、ビジネスウーマンって感じだったわ』

 莉子は今二十七歳か。

 純粋で明るくて俺の宝だった。

 その宝を守るのに必死で、すれ違って復讐とまで言わせてしまったが、それでも莉子は変わらず俺の宝だった。



 莉子を初めて見たのは今から四年近く前。俺は医療器具を扱う商社、toAに行った。

 toAの創業者一族で専務の須王燎は青扇学園の後輩だ。医師として忌憚のない俺の意見を聞きたいと時々相談される。

 その日も仕事の合間に寄り、コーヒーを出してくれたのが莉子だった。

 燎の執務室に莉子が入ってきた途端にハッと胸を打たれた。

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