天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 屈託のない笑顔を見せる彼は、三十代後半のイケメンである。いつも微笑んでいるような穏やかな表情であるし、優しいので女性看護師に人気だ。

 ただちょっとノリが軽いので、男性とのフランクな会話に慣れない私は戸惑ってしまうのだが、今日ばかりは彼の登場がありがたい。

「乃愛ちゃんはお留守番できるようになったんですね」

「はい。さっき電話してみたら、ばあばに本を読んでもらって寝ちゃったみたいです」

 少し前までは、私が一緒じゃないと泣いてぐずったのに。ホッとする反面、寂しい気もして親の心は複雑だ。

「父親の代役が必要になったら、いつでも言ってくださいよ。僕はなんだって協力しますから」

「なんだってですか?」

「たとえばそうだな。サンタクロースの変装してプレゼントを届けるとか」

 思わず笑った。彼なら、さぞかしおちゃめで楽しいサンタになるだろう。

「先生、それいいですね、ひよこ園でやってもらえませんか?」

「え、そっち?」

「是非お願いします! 衣装は全部用意しますから」

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