天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 あははと彼は明るく笑う。

「副理事長のお願いじゃ仕方ない。がんばりますよ」

 会話は楽しくてすっかり話に夢中になっていると、ふいに彼が私の後ろで視線を止めた。

「あー。島津先生、お久しぶりです」

 心臓を跳ね上がらせながら振り返ると、目の前に啓介さんがいた。

「こんばんは」

 にっこりと笑みを浮かべた啓介さんと麻酔科医のドクターが世間話を始めたのをいいことに、私は啓介さんの後ろにいた真知子先生に声をかけた。

「真知子先生、このケーキとてもおいしいですよ」

「あら、じゃあもらってこよう」

「私もおかわりしちゃおうかな」

 できるだけ自然にこの場を離れたい。離婚したのは二年前とはいえ、人前で啓介さんとどんなふうに話をしていいかわからないもの。

「島津先生、凄いなぁ。この国って臨床よりも論文を重視するけど、私は臨床こそが大切だっていう島津先生の考えについて賛成――」

 真知子先生の熱い話は続く。

「これから日本で活動するんですってね?」

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