天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 え? 啓介さん完全に帰国するの?

 私に疑問符を投げかける真知子先生に「そうなんですか」と答えるしかなかった。

「あら、副理事長とはつい最近お会いになったって言ってたのに」

 啓介さんはどんな話をしたんだろう。

「え、ええ。でも確かそのときはそんな話はしてなかった、ような……」

「そっか。まあ、おふたりは離婚したんですもんね」

 その通りなので苦笑を浮かべた。

「乃愛ちゃんはいいなぁ、島津先生の優秀な遺伝子を引き継いで」

 真知子先生はサバサバしているだけに、相手に忖度したりはしない。そこが魅力でもあるが、こういうときはどう受け取ったらいいのか困る。

「私も、島津先生の子ども欲しい」

 思わずシャンパンを吹き出しそうになった。

「結婚はしなくていいのよ。今度頼んでみようかな」

 私の存在など眼中にもないらしく、まるで夢みる乙女のように瞳を輝かせる彼女から、そっと目を離す。

 知り合いのドクターに声をかけられた真知子先生を置いてその場を離れた。

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