天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う

「まさか君がいるとは思わなかった。パーティーは苦手だったよな?」

 私の方こそ驚いたわ。あなたがいるなんて。

「懇親会は、初めての参加なんです」

 言ってから言い訳をしていると気づく。

 別に責められていないのに。

「副理事長としてがんばってるそうだな。皆が口々に褒めていたよ」

「――啓介さんこそ。とても著名な教授のもとで脳神経外科のフェローをされて、随分評価されたとか。雑誌でも取り上げられたそうですね」

 さっき、真知子先生が言っていた。

 若き日本人の脳外科医、数々の難手術を成功させる云々という見出しで、医療系の雑誌に掲載されたという。

 相当な実力がないと受け入れてもらえない教授に認められたうえ、帰国にあたって彼は引き止められたという。

 それがどれくらい凄いのかわからない私でも、真知子先生の興奮ぶりから凄さが想像できた。

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