天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う

 私も啓介さんも無言のまま歩き、彼はロータリーまでついてきてくれた。

 タクシーに乗る前にあらためて礼を告げる。

「ありがとうございました。そして――。ご活躍、本当におめでとうございます」

 啓介さんは少し困ったように表情を歪め「ありがとう」と答えた。

 タクシーに乗り、再び彼に頭を下げると、また泣きたくなった。

 今度はちゃんとできたかな?

 失礼のないように、言えたよね?

 溢れる涙をそっと指先で拭う。

 いっそ、本当にお見合いしてみようかな。

 優しくて乃愛を大切にしてくれる人なら、それだけで十分だもの。

 再婚すれば、今度こそ、彼を卒業できるだろうから……。





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