天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 母からである。

「はい?」

『莉子大変よ。脳神経外科医の新海先生が出張先で交通事故にあったの。命に別状はないけれど、左手を骨折だって』

 思わず「なんですって」と声を上げた。

『とにかく私は入院先の病院に向かうわ。また連絡する』

「わかった」

 電話を切るとただならぬ様子に真知子先生が「どうしました?」と聞いてくる。

「新海先生が――」

 事情を説明すると真知子先生の表情にも緊張が走った。

「あさって清志君の脳腫瘍のオペでしたよね?」

「はい。そうなんです」

 新海先生はオペを成功させるために、恩師に教えを請いに行くと言っていた。よりによって手の骨折では手術はできない。

 患者の清志君はまだ小学生である。上衣腫という日本ではあまり症例のない腫瘍だが、グレードも高くなく悪性度が低ければ手術の成功如何によって完治も望めるという。

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