天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 小児科の先生方とチームを組んで入念に準備をしてきた。清志君はつらい思いをしながら、また学校に行けるという夢をあさっての手術に託して、待っていたのに。

「清志君はオペに向けて血管内治療もはじめていましたし……」

 真知子先生は眉間をひそめて考え込む。

「困りましたね。新海先生の代わりに小児脳腫瘍の執刀ができる先生はうちにはいませんよ」

「ですよね……」

 とはいえ、なんとしても手術を成功させなければいけない。あさって空いている腕のいいドクターを捜すなんて無理だ。となると転院先を検討するしかない?

 なにを、どうすればいいのか。

「山上副理事長。島津先生にお願いしたらどうですか」

「え? 島津先生って……」

「啓介さんです。彼は今回の渡米で小児脳腫瘍の臨床経験を積んだと聞きましたよ」

「そうですか――。わかりました。ありがとうございます」

 真知子先生と別れ、ひとまず理事長室に戻った。

< 219 / 286 >

この作品をシェア

pagetop