天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
「ここにくる前に院長に話をした。夕方カンファレンスに参加して早速準備に入る」

「ごめんなさい啓介さん。忙しいんでしょうに」

 彼の都合も考えず、夢中で電話をしてしまったが、忙しくないはずないもの。

「言っただろ? うれしかったって。実はまだこれからどうするか決めていなくて、ほとんど予定を入れてないんだ」

 一応大学病院に籍はあるものの、まだ正式に今後についての話し合いをしていないという。

「医局には入らないの?」

「ああ、入る予定はないな」

「またアメリカに行くかもしれないとか?」

「いや、今後は日本にいようと思う。乃愛に会いたいし」

 思わずドキッと心臓が跳ねた。

 まさかここで乃愛の名前が出てくるなんて。

「一度でも会ってしまうと、もう気持ちが戻れないな」

 啓介さん……。

「写真だけで我慢しようと思ってたんだ。顔を見るまでは」

 言いながら私の顔をジッと見るから、乃愛ではなく私なのかと勘違いしそうになる。そんなはずないのに。

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