天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 二人掛けのテーブル席に腰を落ち着ける。

 メニューは私に任せると言うので、ランチメニューからメインがステーキのものを選ぶ。せめてものお礼に、一番高額なコースを選んだ。といってもランチなのでお手軽だが。

 これがディナーならばグラスワインも頼んだのに、と少し残念な気持ちになる。

 ウエイトレスが離れると、啓介さんはテーブルに手を突き身を乗り出すように前屈みになる。

「病院の経営の方はどう?」

 ふと、彼の左手首の腕時計が目に留まった。

 婚約指輪のお返しにと、私が選んだ時計だ。まだ使っていてくれているんだとうれしくなる。

「大変だろう」

「うん。なんとかね。とりあえず大きな問題もなくどうにか。みんな啓介さんのおかげ。本当にありがとう」

 彼は左右に首を振る。苦笑のような、でも優しい笑みを浮かべながら。

「いや、中途半端にして手離してしまったからな。申し訳ないってずっと思ってるよ」

 どこか寂しそうにうつむく彼が気の毒になった。

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