天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
「そんな、気にしないで。医療の知識がない私でも理事が務まるのは啓介さんがわかりやすく書類を整えてくれたからなんだもの」

 啓介さんはなにも悪くない。そんなふうに、いつまでも気にしないで欲しい。

 あ――。でも、心配かけたのは私だ。

「ごめんね啓介さん、今回は反省してる。リスク管理が甘かったわ。想定して対応策を考えておかなきゃいけないって思ってる」

 でも、そう簡単に今回のような難しい手術ができるドクターはそういるもんじゃない。

 啓介さんが引き受けてくれなければ、手術は延期する以外に選択肢はなかったと、院長や外科部長に言われて、またひとつ啓介さんの凄さを思い知った。

「とにかくがんばる。皆さんを不安にさせないように」

「おお、頼もしいな。副理事長」

 あははと笑い合って、ようやく肩の力が抜けた。

 間もなくスープが届いた。きのこのポタージュから、秋の香りが広がる。

「あさってはお休みだったわけじゃないんでしょう?」

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