天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う


***



 まさかあんな告白を莉子の口から聞かされるとは……。

『私ね。お見合いするの』

 ハンマーで殴られたような衝撃を受けた。

 頭も心もヒビだらけ。今も思い出してはズキズキと痛み、やるせなさが募る。

 グラスからぽたりと垂れた水滴が赤いコースターに染みを作り、俺の傷口から落ちて広がる赤い血のように思えた。

「はぁ」

 思わずついた深い溜め息に「どうしたんですか」と、仁が反応する。

「いや、ちょっとな。莉子が再婚を考えて――」

 ダメだ。そこまで言っただけで、喉が締めつけられる。

「あららら、それはご愁傷様です」

「お前な」

 睨むと肩をすくめた仁はおどけてみせる。

「幸せになってほしいって言ってたじゃないですか。覚悟の上で離婚したんでしょうに」

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