天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
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まさかあんな告白を莉子の口から聞かされるとは……。
『私ね。お見合いするの』
ハンマーで殴られたような衝撃を受けた。
頭も心もヒビだらけ。今も思い出してはズキズキと痛み、やるせなさが募る。
グラスからぽたりと垂れた水滴が赤いコースターに染みを作り、俺の傷口から落ちて広がる赤い血のように思えた。
「はぁ」
思わずついた深い溜め息に「どうしたんですか」と、仁が反応する。
「いや、ちょっとな。莉子が再婚を考えて――」
ダメだ。そこまで言っただけで、喉が締めつけられる。
「あららら、それはご愁傷様です」
「お前な」
睨むと肩をすくめた仁はおどけてみせる。
「幸せになってほしいって言ってたじゃないですか。覚悟の上で離婚したんでしょうに」