天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 デスクには書類が積んであり、ハッとしたように顔を上げた。

「ああ、啓介さん」

 彼女はにっこりと花が綻ぶような笑顔を向けて立ち上がる。

「お先に」

「お疲れ様でした」

「理事長は?」

「今日は乃愛を連れて先に帰りました」

 君は? と聞こうとすると、莉子が困ったように顔を歪める。

「公認会計士に渡す書類がちょっと」

 迷わず近寄り「手伝うよ」と声をかけた。

「でも」

「どうせ暇なんだ。どれ?」

 戸惑いながらも莉子は書類を指差す。

「ここなんだけど、計算が合わなくて」

 よく見れば些細なミスだった。

「ほら、ここが違ってるだろう? それが原因だな」

「あ、本当だ。ありがとう! こんな単純なミスだなんて」

「ずっと見ていると気づかないものだからな」

 そのまま出来上がるまで付き合った。

 というより、離れられなかったというべきか。

「助かったわ、啓介さん夕食は?」

「いや、まだだ」

 時間は夜の七時。ちょうど夕食どきだ。

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