天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
「言っただろ? 俺が認めないとダメだって」

「冗談じゃなかったの?」

「乃愛は俺が預かる、行っていいぞ。乃愛、ママにバイバイしようか」

 まさか。

「ママ、バイバイ」

 乃愛はにこにこしながら私にバイバイをして啓介さんの胸に張りついた。

 絶句しつつも、ここで揉めても仕方がない。

「それじゃお願いします」

 ぺこりと頭を下げて、足早にお見合い相手の待つ席に向かった。

「すみませんでした。偶然知り合いに」

「いえ、お気になさらず」

 よかった。穏やかな微笑みは変わらない。

 穏やかな声に話し方の彼の様子に、ざわついていた心が少し落ち着いた。

 振り返ると啓介さんは五メートルほど離れた窓際の席に座り、乃愛に景色を見せていた。

 気にしない気にしないと言い聞かせ、メニューを手に取る。

 彼は人格者だ。今のこの状況で怒って帰らないだけでも尊敬に値するもの。

 さて、料理はなにをと考えていると。

「彼は脳神経外科医の島津先生ですよね。あなたの、もと夫の」

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