天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 ときどき啓介さんは実家に帰るけれど、私は一緒にとは言われない。

 どうしてなのかな。



「ごちそうさま」

 後片付けはふたりでする。といっても食洗機に予洗いしたお皿を入れるだけだ。

「莉子、今日はテイクアウトでも頼んで、一日中家でごろごろしていよう」

「うん」

 今日こそは一日中飽きるほど一緒にいたい。

 同じ時間を過ごして啓介さんをもっと知りたい。

 知れば知るほど完璧なあなたが、どうして私との結婚を選んでくれたのか。

 やっぱりわからないから。

 それなのに――。

 無情にも救急車のサイレンが聞こえてくる。

 ここは病院に近いマンションゆえに救急があればすぐにわかるのだ。

 そして啓介さんのスマートフォンが鳴る。

 私が見つめる啓介さんは「ああ、わかった」と答えている。

 交通事故で頭を打ってしまった患者さんが運ばれてきたようで、啓介さんは行ってしまった。

「ごめんな」と、甘いキスだけ残して……。



 結局ひとりになってしまった午後。

 家事を済ませてソファーの肘掛けに体を預けた。

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