天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 ところが今度は私のスマートフォンが鳴った。

 まさか、私のスマホにまで?

 嫌な予感がしたけれど、表示されたのは母の番号だ。

 ホッと胸をなで下ろして電話に出た。

「もしもし?」

『莉子、落ち着いて聞いて。お父さんが倒れたの』

 えっ?

 

 

***

 


 そして――。

 秋の紅葉が色づく頃、父は亡くなった。

 祭壇に飾られた遺影はつい一年前の写真。父はいつものように優しい微笑みを浮かべている。

 あの頃は元気だったはずなのに……。

 見る見るうちに痩せ衰えて、倒れてから亡くなるまであっという間だったと思う。

 父が末期の膵臓ガンだと知らされたのは、倒れた後だ。父の意向により、私や弟に秘密にしたらしい。

 一年以上前からわかっていたようで、そういえばと心当たりはいくつもあった。顔色もよくなかったし、ときどき伏せるようになった。

 私がまだまだ子どもだったから、父は心配して言えなかったんだろう。

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