天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
「あの人、お嬢さんと結婚して、大病院を手に入れたわけだ」

「――あなた、いったい」

 いったいなんなの。

「もしかして電話の人ですか」

 無言電話にイタズラ電話、少し前にはファックスもあった。

 電話は非通知だったが、ファックスの隅には山上総合病院の名前が記されていた。送り主は病院内の人物に違いない。

【早く離婚しろ、ゴミ】

【お荷物一家、さっさと離婚してよ。彼の子どもが生まれちゃう】

 あれは、全部この人だったの?

 こんな美人、病院で見た記憶はないけれど。

「電話?」

 彼女は怪訝そうに首を傾げる。

「あなたは山上総合病院の方ですか?」

「違うわよ?」

 じゃあ、嫌がらせはこの人ではないの?

「お嬢さん。ちなみに心配しなくてもいいですよ。私は妻の座なんて望んでないから。でも、おなかの子がいずれ医者にでもなったら認知してもらおうかしら」

 指先を口もとにあて、彼女はふふっと笑う。

「そのときは山上総合病院、この子にくれる?」

< 45 / 286 >

この作品をシェア

pagetop