天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
「布団に横になったよ。さっきの人、誰?」

 健も見たのか、鈴本小鶴さんを。

「ああ――患者さんの家族だって」

 嘘だけれど、そうとでも言うしかない。

 波立つ気持ちをごまかすようにココアを飲む。

「へえ、ずいぶん綺麗な人だね」

 そうだね。綺麗で堂々としていて強い人。
 啓介さんの隣に立つと、ふたりはとてもお似合いだと思う。

 写真の中で見ても綺麗なカップルだったから。

 彼女に見せられたスマートフォンの写真は、一枚や二枚じゃなかった。

 ふたりが写った写真は何枚も何十枚もあり。彼女の髪型は長かったり短かったり。啓介さんも今よりもう少し若そうな頃から、私がよく知る彼まで。歴史のあるふたりの記録がたくさんあった。

 あれでは疑いようもない。

『この写真が一番最近ね。確か、先週よ』と彼女が指さした写真では、啓介さんはグラスを傾けていた。氷が入った琥珀色の液体は多分お酒だろう。

『かわいそうに彼、寝る暇もないほど働かされてクタクタだって言っていたわ』

 そして彼女は最後に『安心して、お嬢さん』と言った。

< 48 / 286 >

この作品をシェア

pagetop