天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 写真はちらりと見ただけで興味はないようだ。

「復讐っていうのは、これが原因か?」

「ええ、まあ……」

 本当は病院乗っ取りが理由だった。

 でも、今の様子からして彼はこの病院にまったく未練はないらしい。

 それでも理由はほかにもある。鈴本小鶴という存在だけれど、それは最後の砦。今並べた証拠だけでも十分な理由になるはず。

「これはいつ送られてきたんだ?」

「結婚して間もなく」

「これが送られてきて、探偵を雇ったわけか?」

「ええ、まあ。詳しく言うと、去年結婚してひと月後くらいから、無言電話がかかってくるようになって、そのうちファックスも」

「どうしてそのときに俺に言わなかった」

 啓介さんは私に厳しい目を向ける。

「実家にも無言電話は昔から時々あったから、気にしていなかったし」

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