天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 胸の中だけで『本当はあなたの子ですよ』と囁きながらスマートフォンを差し出す。

「病室で撮りました」

 この時期はまだ小さくてよくわからないかもしれないけれど、啓介さんによく似ているんです。私みたいに垂れ目じゃないし、あなたの顔をそのまんま女の子にしたような顔で、とっても美人さんになると思います。

 あなたに愛されなくても、私が倍の愛情で育てますから。

 そんな私の心の声など知らず、啓介さんはなにを思うのかジッと画面を見つめた後、額に指をあててうつむいた。

 喉仏が上下するさまが辛そうに見えるのは気のせいか。

 普通の神経ならば相当ショックなはず。

 一方的な別居の果てに、浮気と不義の子まで告白されたのだから。怒ってスマートフォンを投げつけられても当然のことを私はしている。

 罪悪感に苛まれ視線を外に向けた。

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