妖の街で出会ったのは狐の少年でした

10話 異端児

「ロクおにーちゃんばダメだよ」
乾いた声で聞く。
「どうして?」
「ロクおにーちゃんはいたんじ?って
母さんが言ってた。いたんじの子とは一緒に遊んではいけませんよって。」
どういうことだ?ロクは妖ではないのか?ロクの方を見るがどんな表情でどんな感情を
抱いているのかわからない。
それよりも
「ねぇ、あなたはどう思う。?」
女の子の肩に手を置き、優しく語りかける。
「あなたが教室の子達と遊びたくて声を掛ける。でも、異端児だからダメって言われたら?離れていったら?」
女の子は俯きながら答える
「嫌な、悲しい気持ちになる」
「あなたはどうしたいの?あなた達もだよ?
私はそこにいる下級生たちを見る
「お父さんやお母さんに言われたことを守るのはいいことだと思う。でも、あなたたちはどうしたいの?人間じゃないから。妖じゃないから。そんな簡単に変えることのできない理由でその子がひとりぼっちになっているところを見るとどう思う?」
「寂しいんじゃないかなと思う。」
誰かが言った。
「じゃあどうしたらいいと思う?」
みんなはロクの周りに集まる。
「ロクおにーちゃん、ごめんなさい。」
「・・・別にいいよ。気にしてないし」
なんかつっけんどんだな。みんなの表情暗くて、泣きそうだよ・・・
「でも、今度遊ぶときは誘ってくれたら、嬉しい」
耳がピクピク動き、尻尾が揺れている。
パァと効果音がつきそうな感じでみんなが笑顔になる。
「席についてください。授業を始めます。と言いたいところですが急遽体育になりました。みんな校庭に出てください。」
みんなが一斉に校庭に走って行く。
私とロクも後に続く。後をついてくるジュンが虚な目をしていたことを私は気づかなかった。

「これでいいですか。校長先生。」
「ええ、ロクくんと彼らの関係には気付いていたが何もできない自分が不甲斐ない。せっかく打ち解けることができたのに、それを断ち授業はかわいそうじゃないですか?」
「校長先生・・・」
見直したと思ったがすぐに確信した
「自分が子供たちと遊びたいだけでは」
「そ、そんなこと、あるかも知れない」
はぁ、頭痛がしてくる。

ヨナガ先生とツキナ校長先生が校舎から出てきた。
「いつも体育って何をやっているの?」
私はジュンに話しかけてみた。
「ふたつのチームに分かれて鞠を蹴り、奪い合って先に相手のゴールに入れる鞠蹴りが基本かな。あとは縄跳びやゴム跳び、あとは鬼ごっことかかな」
「そうなんだ。ありがとう」
校長先生がルール説明をする。
「よーし、みんな、隠れ鬼やるぞ時間は終了の鐘がなるまでだ。鬼は私とヨナガ先生だ。みんな10数えたら行くから逃げてくれ。よーい、スタート!」




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