妖の街で出会ったのは狐の少年でした

31話 打ち解け

「おはよう。カズハあのさ、次の日連休の初日遊びに行かない。」
挨拶もそこそこにして本題に入る。
「え、あ、おはよう。ナツキさん
その日か。・・・
その日は団体客の予約が多く入ってる
から抜けられないんだ。ごめん」
カズハは申し訳なさそうに答える
「そうなんだ。謝らないで。
いきなりこんなこといわれて困るのは
当たり前なんだから」
「でも、最終日なら抜けられるかもしれない。後で聞いておくね」
「うん。ありがとう」
カズハは話しかけられた時は驚いたものの昨日のような感じではなくなった。

休憩時間になり、オレはロクに話しかける。
「なぁ、ロク。今度ナツキとカズハが遊びに行く時、ナツキにオレもついてきてって言われてさ。ロクもきてくんねぇ」
ロクは豆鉄砲を食らったような顔をし
「カズハ様とナツキは女性同士なので
わかりますが、ジュンは珍しいですね」
「裏から色々手を回してたんだよ。
ナツキがカズハと・・・」
仲良くしたいと言いかけた時禍々しい
気配を感じたからその方向を見ると、
ナツキがすごく笑顔でこちらを見ていた。
笑顔に似合わない汚い言葉の文章が背景に見える気がする。
ナツキが小首を傾げるのと同時にオレの背中は氷が突っ込まれたように冷たくなり思わず身震いする。
「どうしました?ジュン」
すぐにロクの方に向き直る
「いや、なんでもねぇ」
「でもいいんじゃないんですか?
両手に花で」
「その両手の花に置いてけぼりになるとオレは虚しいんだよ。女子同士の会話に割り込むのも失礼だし」
「な、いいだろ。カズハが休みの時に
ロクは非番だろ。」
「まぁ、それはそうですけど」
「な、じゃあ決まり。もし行けたら4人で出かける!」
「ちょっと勝手に・・・」
その時授業再開の鐘が鳴る。
オレは不満を漏らそうとするロクを無視して席に着く。
上手く、というか無理矢理丸め込み
なんとか4人行動にすることができた。

授業が終わり帰ろうとするとナツキに肩を叩かれて、外を指さす。
(今日も校舎裏かな)
オレが席を立とうとすると、
「なぁ、ジュンにーちゃんとナツキ
ねーちゃんってミッカイしてるの?」
!?オレは驚きのあまり、机に足を
ぶつけた。
「ちょっと、ジュン。大丈夫!?
大きい音したけど」
先に教室を出てたナツキが戻ってきた
「っ~。いってぇ。なぁその密会って
言葉誰から聞いたんだ」
痛みに悶えながらも、聞いてきたチビに問いかける。
「校長先生!」
輝く笑顔で教えてくれた。
(年端も行かない子供になに教えてんだ。あの人!?)
沸き立つ怒りを抑えながら
「そ、そっか。オレたちは密会なんか
してねーから、もうその言葉使うんじゃねーぞ」
「わかった~。ぼく、帰るね。
じゃあね~」
手を振りながら駆けていくチビにオレは笑顔を向ける。
(あの人にどうやってお灸を据えようかな。ヨナガ先生に相談して絞めてもらおうか)
と、オレは内心考えていた。
ー職員室ー
ツキナ校長の作業する手が止まった。
「どうかしましたか?」
「いや、今寒気がしたような・・・」
「まだ、寒い日が続きますからね、
風邪ですか?」
「さぁ、どうだろう」
なんだか嫌な予感がする

ジュンが怖い。笑顔だけど内心は何か別のこと考えている気がする。
「あの、ナツキおねーちゃん」
振り返ると雨少女の子が話しかけてきた。名前は、確か・・・
「どうしたの?スイウ」
「あのね、ナツキおねーちゃんに勉強
見て欲しいなって。カズハおねーちゃん、帰っちゃったから・・・」
スイウは顔色を伺うように話す。
最近授業が終わると、カズハとロクは一目散に帰るようになった。
忙しいのだろうか。
「いいよ。私にわかる範囲だったら」
スイウの顔が明るくなる。
「ありがとう。ナツキおねーちゃん」
ジュンには先に帰ってもらい、
勉強を、教えることにした。
1時間ほどやって、途中まで一緒に帰る

「今日はどうだった?ナツキ」
家に着くと母さんが聞いてきた。
「楽しかったよ。下の子達とも上手く
打ち解けているかもしれない」
「そう。よかったわね」

連休遊べるといいな


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