妖の街で出会ったのは狐の少年でした

38話 喧嘩

ナツキがこの街を出て行ってから早数日
練れ者の方と交代する頃
「いらっしゃいませ、お客さ、ま?」
いつものように仕事をしていると、
「よぉ、一晩泊まりたいんだが
いいか?」
不機嫌そうなジュンが来た
「お部屋にご案内します。」
移動しながら、話を聞く
「珍しいね、ジュンが来るなんて。」
「どうしたの?」
「喧嘩したから頭冷やしに来た」
「誰と?」
「・・・姉ちゃん」
「お姉さんいるんだ」
部屋につき、ジュンを部屋に通す。
「どうぞ、おくつろぎください」
「ありがとう」

オレの姉ちゃんはなんでもできる。
運動、勉強の成績も上位だ。
最初は憧れていた。
でも、だんだん周りから比べられている気がして、嫌気がさして、違うことなら姉ちゃんを上回ることができるんじゃないかって思ってもオレが苦戦してできるようになったことをそつなくこなして、なんならオレ以上の出来栄えで。
悔しかった。学校を卒業してからの進路に口出してきたから、キレて一方的に
捲し立てて、飛び出した。
昔からそうだオレは姉ちゃんには 
敵わない
お姉ちゃんはすごいね。ジュンももう
少しがんばろう。
うん。
聞きましたよ学年トップなんですって?
賢いお嬢さんね。ジュンくんは・・・
いつも元気いっぱいね、
うん。
編み物だったらどうだろう。
入院中の母さんに喜んでもらいたくて
編み目記号を必死に覚えた
少し不恰好なぬいぐるみ
母さん、みてみて、こ、れ・・・
まぁ、マフラー編んでくれたの?
ありがとう。あら、どうしたの?ジュン
いや、なんでも、ない・・よ

「卒業したらそこに行きたい?」
「うん、オレそこでやりたいことがあるんだ。頼む、父さん。」
「やりたいことは若いうちに
たくさんしなさい」
「ありがとう、父さ、」
「でも、ジュンはこっちの方がいいんじゃないの?」
は?
なんで姉ちゃんが意見するんだよ。
オレの進路だぞ。なんで口出してくるんだよ。
「ねぇ、ジュンこっちの方は・・・」
ーもう、やめてくれよー
「いい加減にしてくれよ!
なんでオレの進路に姉ちゃんが口を挟むんだよ。姉ちゃんに勝ちたくて始めた編み物もオレ以上の出来に仕上げて。
オレの苦労も知らないくせに。
もう、放っておいてくれよ!」
オレは家を飛び出し、
「あ、ジュン!」
気がついたら宿屋の近くにいた。

「何やってんだろ、オレ」
寝っ転がり、自己嫌悪に陥る。
確かに今までの鬱憤が爆発して、あんな言い方になったけど、その鬱憤の原因が姉ちゃんだったのも事実だ。
あそこで我慢してもそのまま沈殿していくわけはなく、必ずどこかでさっきみたいに、爆発しただろうな。
起き上がり、部屋を出て散策すると、
ロクに会った。
「ジュン、何してるんです?」
「今は客としてここにいるんだけど」
「あ、それは失礼しました。」
「なぁロク。どうしたらいいと思う?」
「お暇なのでしたら温泉に・・・」
「違う、そうじゃなくて・・・
まぁ、温泉に入ってくるか」
「心ゆくまでお寛ぎください」

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