妖の街で出会ったのは狐の少年でした

6話 仲居

「カズハ様、カズハ様」 
私が起きると目の前にロクが座っていた。私は昨夜のことを思い出す。
「もしかしなくてもロクが運んでくれた?」
「はい。起こすのも気が引けたので」
「なんか、ごめん」
「大丈夫ですよ。気にしていないので。 朝食をお持ちしました。」
ご飯にお味噌汁、焼いた魚に卵焼き
久しぶりの和食だった。・・・
和食?・・・そう、和食だ。一瞬和食というものが思い出せなかった。なんでだ?気にせず、いただく。美味しい。同時に何故か懐かしい感じがする。完食したらロクが
「カズハ様、着物の着付けってできます?」
「で、できない・・です」
「その服脱いでもらっていいでしょうか?俺が着付けをします。もちろん必要以上触りません。」
正直少し嫌だったが、着付けができないのは本当なので承諾した。
私はジャケット、ベスト、リボン、スカート、ブラウスと順番に脱ぎたたんでいった。まず白い着物のような物、襦袢というらしい。そして着物。どちらも手際よく着付けをしていく。帯も綺麗に結んでいく。
「ありがとう。ロク」
「着付けも使いの仕事なので」
だからこんなに手際いいのか。10分もかからず完成した。
部屋にノックの音が聞こえ、返事をするとナグモさんが入ってきた。
「おはようございます。ナグモさん/様」
「おはよう、カズハ、ロク」
「カズハ、今日からだね。ついてきて」
ナグモさんについて行く。
真っ白な肌に青っぽい髪の女の人が立っていた。
「ミズキ、この子が昨日言った新入りの子。カズハ、こちら教育係のミズキ」
「はじめまして、カズハです。不束者
ですがご指導よろしくお願いします。」
「可愛い子じゃん。アタシは雪女の
ミズキ、よろしくな」
高校生のような、大人っぽい人だった。
「ここの宿屋は午前、午後、深夜と3つの組に振り分けられる。学校が始まるまで午前と午後、始まってからは午後のみ。深夜は練れ者がやる決まりなんだ。基本は私と一緒に動いてもらう。」
「わかりました。」
そこからは大変だった。食事の上げ下げ。お客様の案内、予約の確認、お客様が温泉に入ってる間に布団を敷くなど、
忙しかった。一番大変だったのは、食事の出す時の説明だ。受け渡しの人から一度しか言われないので、すぐに暗記しないといけない。ミズキさんは終始にこやかに微笑んでいた。
1日が終わり、ミズキさんに挨拶をしてから部屋に戻る。朝とは違う布団が綺麗に敷かれていた。私はシャワーを浴び、湯船に浸かり一息つく。襖が開き誰か入ってきた。ロクが夕食を持ってきたのだろうか?寝巻きを着て行くとなにもなかった。ロクが夕食を持ってきたので
「ロク、さっき部屋に来た?」
「?、いえ」
私は疑問を持ちながら夕食を食べ、一日を終えた。
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