恋桜~あやかしの闇に囚われて~
ミツルに追いつき、その指差す先を見ると、桜の木の陰に石で造られた丸い台があった。高さは腰くらいまでで、直径は一メートルほどだろうか。立てた土管に蓋をしたようなかんじの物体だ。
「これ……古井戸じゃないか」
「井戸?」
「完全に塞いであるけど」
「うわ、マジか! いいじゃん、ますますホラーっぽいな。早速撮影しようぜ」
配信用の動画のロケとは言え、ほとんど即席の行動だったため、特別な機材などは用意していない。買い換えたばかりの最新機種のスマートフォンをミツルに向けて、「アップにする? 引きの絵で行く?」と何かのテレビで見た業界用語で話しかけると、
「うひょー、和真ちゃん、業界っぽい」
ミツルが喜んでケラケラと笑った。
テンションが高いだけで面白くもないミツルのトークと、桜の木や古井戸、荒れ果てた廃村の景色を撮影し、車に戻るころには空は朱く、周囲は薄暗くなっていた。
「ミツル、もう帰ろう。ここ、電気も通ってないから、真っ暗になるぞ」
「そんなときのために、じゃじゃーん」
「これ……古井戸じゃないか」
「井戸?」
「完全に塞いであるけど」
「うわ、マジか! いいじゃん、ますますホラーっぽいな。早速撮影しようぜ」
配信用の動画のロケとは言え、ほとんど即席の行動だったため、特別な機材などは用意していない。買い換えたばかりの最新機種のスマートフォンをミツルに向けて、「アップにする? 引きの絵で行く?」と何かのテレビで見た業界用語で話しかけると、
「うひょー、和真ちゃん、業界っぽい」
ミツルが喜んでケラケラと笑った。
テンションが高いだけで面白くもないミツルのトークと、桜の木や古井戸、荒れ果てた廃村の景色を撮影し、車に戻るころには空は朱く、周囲は薄暗くなっていた。
「ミツル、もう帰ろう。ここ、電気も通ってないから、真っ暗になるぞ」
「そんなときのために、じゃじゃーん」