火の力を持つ国王様は愛も熱い


お風呂を出ると、私達はザイールのいる医務室へと向かった。

そこにはアクアもいてザイールに心配そうに話し掛けている。

ザイールは失った瞳の方の包帯を付け替えを終えたところだ。
医務室へ入るとシャーロットはすぐにザイールの隣りに座った。

「ザイール…まだ痛む?」

「痛み止めのおかげで痛みはない」

「シャーロット様とルーナが危なかったとはいえ無理させてしまい申し訳ございません…暫く安静になさってください」

「いや、アクア様が気を病む事ではないです。それにまさかアクア様が水のフォース持ちだったなんて…フォースの力があんなに強くなるなんて良い経験をさせてもらいました」

「緊急事態とはいえ、国家機密なので帰ったら父上からお叱りが待ってますが」

アクアは苦笑しながらそう言った。

「あ…アクア様、過去のライマーレの過ちがありますが、現在のライマーレでは水のフォースをお持ちのアクア様へ危害を加える様なことは一切しません。ですから、またライマーレへ遊びに来て頂けたらと…」

「はい、ありがとうございます。今後ライマーレ王国とはより深く親交を深める方向で国王とも話をさせて頂きます。本日は今回の件の後処理がありますので帰国しますが、また伺わせて下さい」

「私、アクア様と全然お話出来てないので今度はゆっくりいらして下さい!アクア様が来て下さるの楽しみにしております!」

「それでは…ルーナ、行こうか」

「うん」

アクアが差し出した腕に手を添えて、一度お父様とお母様に挨拶をしてからアヴァンカルド王国へと帰った。

アヴァンカルド王国へ戻ると今回の件でエドワード国王様が全力で対応してくださっていた。

直々にライマーレの王族を拉致した団体のある国へ出向き、警告と二度とこの様な事を起こさない事を約束させた。

現在この大陸ではアヴァンカルド王国が一番国力があり、ライマーレとアヴァンカルド以外はどの国もフォースを持たない国だ。
アヴァンガルドを敵に回すなんて事は絶対になく、要求も簡単に呑んでくれた。


その日の晩。
アクアはアヴァンカルドへ戻ってから今回の事の報告や、今後の事の会議等で夕食の時間すら姿を見せなかった。アリスもエドワード国王様と共に交渉に向かわれたから同様にみんな出払っていた。

私の国の事で起きた事件なのに、私はアクアやアリスの様に国の事で何かを任されている立場ではないので出来る事は何も無かった。

それに囚われていた事もあり、早めに休む様にとも言われてしまい一人で部屋で休む事となった。

休むと言っても、やはり昨晩の出来事は心に強く残っていて目を閉じると襲われた時の事を思い出してしまってなかなか休む事が出来なかった。


コンコンッ


「はい…」


もう大丈夫なのはわかっているのに、心細くて涙が溢れている時に部屋の扉を誰がノックした。

「ルーナ?まだ起きてる?」

「うん」

アクアの声がして私は急いで扉を開けた。

「遅くにごめん、今仕事が一段落ついたんだ。もう休んでるかとは思ったんだけど心配で…」

アクアがそう言うと私はアクアに抱き着いた。

「…来てくれて嬉しい……一人で心細かったの」

「そうだよな…部屋入っていい?」

「うん…」

アクアは私の肩を抱き寄せて私の部屋へと入った。

よく見ると片方の手に何か箱を持っている。

「何か持って来たの?」

「あぁ。これ…前にオーダーしたプレゼントの靴が出来上がって届いたから持って来たんだ」


「わぁ!アクアが選んでくれた靴だよね、すごく楽しみにしてたんだぁ」

「気に入ってくれると良いけど…座って」

椅子に座ると、アクアは私の前に膝まづいて靴の入った箱から靴を取り出した。

靴は全体が上品なシャンパンゴールドのキラキラした素材にパールがあしらわれていて、かかと部分はワインレドのベロア素材のリボンで編み上げになっているデザインで、一目で心が奪われてしまった。

「えぇっ!こんな素敵な靴初めて…」

「気に入って貰えたかな?ルーナに似合いそうだと思ったんだ…履いてみて?」

アクアはそう言うと、靴を履かせてくれると立たせてくれた。
流石オーダーメイドだけあって足にピッタリ馴染んだ。

素敵過ぎてつい魅入ってしまう。


「素敵……一生大事にする!ありがとう」


アリスがジョシュア様に貰った靴飾るくらい大事にする気持ちすごくわかる…!

私も飾っておきたい…

嬉しくてアクアに抱き着くとアクアは私の頭を撫でる。

「アクア…疲れてるの分かってるんだけど……その」

「ん?何でも言ってよ」

「……今夜一緒にいて欲しいな……あ…えっと…一緒にいたら休めないから断ってくれても…」

「ルーナが大丈夫ならそのつもりで来たから今夜は一緒に休もう…ルーナは俺と一緒で平気?」

「うん…アクアと一緒が良い」


そう言うとアクアは私の頬にキスをして、私の様子を伺いながら唇にもキスをしてくれた。

そして、私のベッドに二人で入ると優しく抱き締めて貰うと安心して休む事が出来た。




今回の件からライマーレのフォースの力が弱まっている事はアヴァンガルド王国へ伝わってしまったけれど、無下にされる事は一切なく人出不足や、国境の警備など様々な面で協力をしてくれるようになり、弱まってしまった雷のフォースでも必要としてくれてフォースの共有で落ちぶれていたライマーレも栄えるまでに時間は掛からなかった。


一方で、私達はというと学校を卒業すると私とアクア、アリスとジョシュア様は同時に結婚する事になり合同結婚式が盛大に行われた。






30年が過ぎた頃にはアクアヴェールは復国し、三国の火、水、雷の力の持つ者は自分が望む国を選択して暮らす事が出来るようになった。


それぞれの力が共存し明るい平和で豊かな未来へと繋がっていった。


絶滅したかと思われた水のフォースに、力の弱まってしまった雷のフォース。
二つの力を復活させ、全てを共存させた事はアヴァンカルド王国の文献に残され後世へと語り継がれていった。


◇HAPPY END◇
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