あなたを憎んでいる…でも、どうしようもなく愛してる
悠斗さんに直接聞いても良いのだろうか?
…でも、聞くのが恐い…もしも…聞きたくない答えなら…。
お昼休みになり、一人になりたい私は会社の屋上のベンチでお弁当を食べることにした。
お弁当を広げてみるものの、喉を通りそうもない。
胃のあたりに何かが詰まっているような感じがする。
「伊織さん、こんなところで一人でお弁当とは、寂しいねぇ。」
後ろから男性の声がして、驚いて振り返った。
そこに居たのは、鳴海裕也だった。
なぜか、少し悲しそうな顔をしているように見える。
鳴海は、素早く私の隣に移動すると、ストンと勢いよく私の隣に座った。
「あのさぁ…俺はこんなだから、あちこちの女性と遊んでいるけど、誰か一人を悲しませることはしないんだ。嫌なんだよね。」
「…はい?」
すると、鳴海は私の頭にそっと手を置いた。
「噂は聞いたよ。あいつ…何を考えているんだ。」
どうやら悠斗さんの事を言っているのだ。
鳴海の耳にも金髪の美女のことは伝わっているのだろう。
鳴海は、私のお弁当の卵焼きを指でつまんでパクリと食べた。
「俺がお前たちの真ん中に入ると、ややこしい事になるからできねぇけど…ハッキリ神宮寺社長に聞くことだな…もしも、伊織さんを悲しませることがあったら、俺は社長でも許さねぇからな。ぶん殴りたい気分だよ。」
私は思わずフッと笑いが出た。
鳴海は口が悪いけれど、私を心配してくれている。
「鳴海さん、ありがとうございます。そうですよね…逃げていても、何も解決しないですね。」
鳴海は私の頭に置いた手で、髪をわしゃわしゃと動かした。
「鳴海さん!髪がボサボサになります!止めてください!」
すると、鳴海は私を見て微笑んだ。
「伊織さんがやっと笑ったか…元気出せよ…何かあれば力になってやる。」
私は鳴海に向かったコクコクと頷いた。
鳴海の優しさで心が少しほぐれた気がする。
…勇気を出さなくては、なにも解決しないよね。