あなたを憎んでいる…でも、どうしようもなく愛してる
「神宮寺、遅いぞ…もうみんな揃っている。」
「悪いな…待たせた。」
ここはホテルの中にあるブリティシュスタイルのパブだ。
お洒落なカウンターが大人の雰囲気だ。
神宮寺に声を掛けたのは、少し軽そうに見えるが、お洒落な英国紳士風で青い瞳が美しい男性だ。
このお店に溶け込んでいるように見える。
「じ…じ…神宮寺、お前が女性を連れてくるなんて…どういう風の吹き回しだ。早く紹介してくれよ。」
「ハリー,うるさい。」
神宮寺はこの男性をハリーと呼んでいた。
ハリーは神宮寺の後ろに隠れるように立っていた私を覗き込んだ。
すると、笑顔で自己紹介を始める。
「こんばんは、僕は神宮寺と学生時代からの親友なんだ…ハリーです。よろしくね。」
ハリーは美しいブルーの瞳を片方閉じて、ウィンクして見せた。
「わ…わ…私は、伊織桜です。」
ハリーは長身の体を少し屈めて、私の目線に合う高さで微笑んだ。
「桜ちゃん。可愛い名前だね…神宮寺とは、いつから付き合っているの?こいつは何も言ってくれないからさぁ。」