あなたを憎んでいる…でも、どうしようもなく愛してる

ハリーに、いつから付き合っているのかと聞かれて、言葉が詰まった。

そもそも偽りの恋人なのに、いつからと言われても答えられない。

しかし、神宮寺は動じることなく普通に話しを始めた。


「おまえに教えたくないが…桜とはそろそろ結婚も考えているんだ。」


神宮寺の発言を聞いて、驚いたのはハリーだけではない。
私の方が、倒れそうに驚いた。
まさか、恋人の振りだけでなく、結婚という言葉まで出すとは思わなかった。

ハリーは両手を広げて呆れたような仕草をして見せた。


「神宮寺、…きっと大変な事になるぞ、女性たちは今日もお前を狙って、ギラギラとしているのに、彼女を連れてくるとはなぁ…。」


神宮寺がこの店に着く直前に、今日来ているメンバーについて教えてくれていた。
そのメンバーのほとんどが、幼馴染や学生時代の友人だと言っていた。
ただ、気になったのは、その中に私を紹介したい人がいると言っていたことだ。
一体それは、どんな人なのだろうか。神宮寺はそれ以上は詳しく教えてはくれなかった。


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