貴方の残り香〜君の香りを狂おしいほど求め、恋しく苦しい〜
両手をついて体を起こした譲の顔を真梨子は見上げる。無表情を装っているものの、眉間に寄った皺が彼の苦悩を表しているようだった。
どういうこと? 確かにあの日は私が一方的に別れを告げて、彼の気持ちを蔑ろにしてしまった。でも所詮セフレじゃなかったの?
もう過去のこと、今更話しても仕方ない……そう思っていた。もしかしたら私だけじゃなくて、譲もあの日に置き去りにしてしまった気持ちがあるのだろうか。
「俺は……来るものは拒まず、去る者は追わない主義だったんだ。だから真梨子がいなくなった後も、また昔の自分に戻るだけ……そう思ってた。でもおかしいんだ。誰と寝ても、真梨子みたいな感覚にならないんだ」
首を傾げた真梨子に、譲は甘いキスを降らせる。
「もっと声が聞きたい、もっと繋がっていたい、もっと体中を味わいたい……とにかくもっと欲しくてたまらないっていう感覚。誰を抱いても頭に浮かぶのは、真梨子の溶けてなくなってしまいそうなあの艶っぽい表情……その時になってようやくわかったんだ。俺は真梨子と友達だった時、他の女と関係を持つ気になれなかった。きっと俺の中では真梨子と付き合ってるつもりだったんだって。後悔先に立たず、後の祭り、気付いた時にはもう遅かった。愛していたはずの女を、俺は不覚にも逃してしまった」
そう言いながら、譲は再び真梨子の中へと身を沈めていく。熱い吐息が漏れる唇を、貪るように吸い上げる。
「もう……ギブアップって言った……!」
「ダメだよ。もう今度こそ逃がさない。真梨子を一生俺のものにする」
「で、でも……! あの頃とはもう違うのよ……私だって年をとったし……」
「大丈夫。再会してから一緒に過ごして、真梨子は何も変わってないってわかったよ。何しろ、ラーメン好きな真梨子が健在で嬉しかった」
「でも……きっとあなたは手に入らなかった私に執着してるだけよ。本当の私を知ればがっかりするわ」
しかし真梨子は譲に唇を塞がれ、言おうとした言葉も一緒に飲み込む。
「それはお互い様だろう? それならさ、お試しで半年付き合ってみないか? 答えを出すのは半年後。もし上手く行かなかったら別れればいい。それでも気持ちが変わらなかったら結婚しよう」
「ちょ、ちょっと待って! 展開が早すぎてついていけないんだけど……!」
「要はこうだ。俺はもう真梨子と離れたくない」
譲がゆっくりと動き始め、真梨子は襲いかかる快楽の波の中で答えを探していく。
「わ……私はね、怖いのよ……。また同じようなことを繰り返したらどうしようって思って不安になる……んっ……」
「だからさ、この半年で俺を見極めればいい。俺は真梨子を傷付けたくないんだ。だから嘘はつかない。言いたいこと、して欲しいこと、逆にしてほしくないことを、きちんと伝え合って話し合おう。ちゃんと本音で向き合いたいんだ。嫌なら突き放してくれて構わない。でも俺の気持ちはもう決まっているけどね」
真梨子の返事を待つことなく、譲の動きが激しくなり、真梨子は四度目の絶頂に到達してしまった。
息も絶え絶えな真梨子と繋がったまま、譲は愛おしそうに何度もキスをして舌を絡める。
「俺はもう真梨子に本気なんだよ……。だから真梨子も俺に本気になって欲しい……」
譲の声が聞こえた気がしたが、真梨子は答える間もなくそのまま意識を失った。
どういうこと? 確かにあの日は私が一方的に別れを告げて、彼の気持ちを蔑ろにしてしまった。でも所詮セフレじゃなかったの?
もう過去のこと、今更話しても仕方ない……そう思っていた。もしかしたら私だけじゃなくて、譲もあの日に置き去りにしてしまった気持ちがあるのだろうか。
「俺は……来るものは拒まず、去る者は追わない主義だったんだ。だから真梨子がいなくなった後も、また昔の自分に戻るだけ……そう思ってた。でもおかしいんだ。誰と寝ても、真梨子みたいな感覚にならないんだ」
首を傾げた真梨子に、譲は甘いキスを降らせる。
「もっと声が聞きたい、もっと繋がっていたい、もっと体中を味わいたい……とにかくもっと欲しくてたまらないっていう感覚。誰を抱いても頭に浮かぶのは、真梨子の溶けてなくなってしまいそうなあの艶っぽい表情……その時になってようやくわかったんだ。俺は真梨子と友達だった時、他の女と関係を持つ気になれなかった。きっと俺の中では真梨子と付き合ってるつもりだったんだって。後悔先に立たず、後の祭り、気付いた時にはもう遅かった。愛していたはずの女を、俺は不覚にも逃してしまった」
そう言いながら、譲は再び真梨子の中へと身を沈めていく。熱い吐息が漏れる唇を、貪るように吸い上げる。
「もう……ギブアップって言った……!」
「ダメだよ。もう今度こそ逃がさない。真梨子を一生俺のものにする」
「で、でも……! あの頃とはもう違うのよ……私だって年をとったし……」
「大丈夫。再会してから一緒に過ごして、真梨子は何も変わってないってわかったよ。何しろ、ラーメン好きな真梨子が健在で嬉しかった」
「でも……きっとあなたは手に入らなかった私に執着してるだけよ。本当の私を知ればがっかりするわ」
しかし真梨子は譲に唇を塞がれ、言おうとした言葉も一緒に飲み込む。
「それはお互い様だろう? それならさ、お試しで半年付き合ってみないか? 答えを出すのは半年後。もし上手く行かなかったら別れればいい。それでも気持ちが変わらなかったら結婚しよう」
「ちょ、ちょっと待って! 展開が早すぎてついていけないんだけど……!」
「要はこうだ。俺はもう真梨子と離れたくない」
譲がゆっくりと動き始め、真梨子は襲いかかる快楽の波の中で答えを探していく。
「わ……私はね、怖いのよ……。また同じようなことを繰り返したらどうしようって思って不安になる……んっ……」
「だからさ、この半年で俺を見極めればいい。俺は真梨子を傷付けたくないんだ。だから嘘はつかない。言いたいこと、して欲しいこと、逆にしてほしくないことを、きちんと伝え合って話し合おう。ちゃんと本音で向き合いたいんだ。嫌なら突き放してくれて構わない。でも俺の気持ちはもう決まっているけどね」
真梨子の返事を待つことなく、譲の動きが激しくなり、真梨子は四度目の絶頂に到達してしまった。
息も絶え絶えな真梨子と繋がったまま、譲は愛おしそうに何度もキスをして舌を絡める。
「俺はもう真梨子に本気なんだよ……。だから真梨子も俺に本気になって欲しい……」
譲の声が聞こえた気がしたが、真梨子は答える間もなくそのまま意識を失った。