西園寺先生は紡木さんに触れたい
「オイ、オマエ。」

「うっ…。」

次の日の放課後。

今日一日中は特に蓮に見ない・視界に入れさせない・近寄らないを徹底してきた甲斐もあって、何事もなく帰れる…!

と気を抜いた瞬間、後ろから耳に入れたくない声がして、紡木は思わず呻き声を上げた。


小刻みに震える身体をゆっくりとその声の方へ向けると、そこにはやっぱり霧島蓮が立っていた。


「エト、アノ、」


昨日の出来事を思い出して、だらだらと冷や汗をかきながら答える紡木に、蓮はキッと睨みをきかせた。


ひっ!死ぬ!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!人身売買だけは!!!!


「オマエ、恋愛相談に乗ってるんだろ?…噂を聞いた。俺の相談にも乗れ。」


ぶっきらぼうにそう言う蓮に、紡木は目を点にして彼を見つめた。


「あれ、えと、人身…。」


「は?ジンシン?…人参がどうしたって?」


「え、いや、なんでも…。」


「そうか?まあいい、相談に乗れ。あの屋上前の踊り場でやってるんだろ?行くぞ。」


「え、は、はい…。」


命が助かるなら…そんな気持ちで紡木は蓮の後ろをちょこちょこと付いて行った。
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