西園寺先生は紡木さんに触れたい

霧島くんって、意外と波瀾万丈な人生歩んでるんだ。


それに比べて私ときたら…
男性恐怖ということを抜かしたら実に平々凡々な人生だこと。


…でもなんでそこから会社を継ごうなんて思うようになったんだろ?


なんて人通りの少ない駅の高架下を歩きながら呑気に考えていると。



ぽつり、ぽつり、と雨が降り出してきた。


最悪、傘持ってきてないんだけど!

そう思って紡木は早足で歩き出した。





「か、花奏…!?」


その声に驚いて足を止めると、反対方向から来ていたスーツを着たおじさんが、立ち止まって大きくした目で紡木を見つめていた。



誰?この人?
こんなおじさん知らない…。



『やだ、茂雄さんったら!』
『なんだよ…この!』
『うふふ、やだ…あっ…。』



唐突に裸で戯れる男女が脳裏に浮かび上がった。
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