西園寺先生は紡木さんに触れたい
「…っと!遅くなってごめん!」
「いいよ〜。お疲れ様〜。」
「つむちゃん走ってきたの?ゆっくりでいいのに!」
放課後。面接練習が終わるや否や教室に走って戻り衣装作りをしている2人─瞳と真衣に合流する日が暫く続いた。
マイペースでおおらかな2人は、紡木が連日のように遅れて合流しても怒るどころかいつも労いの言葉をかけた。
その言葉に紡木は癒されつつ、急いで作業に加わった。
「今ね〜後もう少しでシャツを全部破りきるところ!」
そうにこにこと笑みを浮かべながら、片手にカッターを持つ真衣のミスマッチさに紡木は吹き出した。
「真衣ちゃん、笑顔でカッター持ってるとなんか怖い。」
笑いながらそう突っ込む紡木に、「あはは、ほんとだ〜。」と瞳も笑った。
真衣は照れ笑いを浮かべながら、「やだ〜。」と返した。
そんな反応に紡木は再び笑いながら隣の席に着いて作業を始めた。