西園寺先生は紡木さんに触れたい

「今度はこの破いてないナース服に赤い絵の具を血っぽくつけてくんだけど…。」


全ての服を破き終えた真衣は、そういいながら袋の中からディスカウントショップで買ってきたであろうコスプレ用のナース服を数枚取り出した。


元美術部である真衣がテキパキと絵の具や水を用意すると、2人に簡単に塗り方のコツを指示した。


「結構水を多めで…ぽんぽんぽん、って筆を置いたり、こうやって歯ブラシで飛ばしたりするといい感じになるの。」


そう説明しながら大胆に色を乗せていく真衣に、紡木たちは「おお…。」と感嘆の声を上げた。


「まあ、とりあえずやってみよっか!」


そんな真衣の言葉に、紡木はドキドキしながらも筆を手に取った。


薄ピンクのナース服に、じわりと染みていく赤色。


戸惑いながらもそれっぽく筆を置いていく。


「すごい!本物っぽくない?」


想像以上にうまくいったのが嬉しくて紡木はそう真衣に見せると、真衣もうんうん、と笑顔で頷いた。


「お、すげーじゃん。」


そこに1人の男子生徒が寄ってきた。
途端に真衣の様子がぎこちなくなったことに紡木は勘づいた。


「真衣ちゃんが教えてくれたの、すごくない?」


紡木がそう言って真衣の方を見ると、彼女は驚いたような表情で紡木を見つめた。

「へえ、真衣ってそんなこともできるんだな!今度俺にも教えてくれよ!」


「う、うん。」


真衣が俯きながらそう答えると、男子生徒は満足げな顔をして持ち場に戻っていった。
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