西園寺先生は紡木さんに触れたい


「…真衣ちゃん、好きなんだ。」

「えっ!?な、なんで??」


紡木がそう聞くなり明らかに顔を真っ赤に染めて動揺する彼女に、由梨も「バレバレだよ。」と付け足した。


「やだ〜…もう、秘密だよ?」


そう眉を下げながら2人の顔を交互に見る真衣に、紡木は力強く頷いた。


「そういえばつむちゃんって恋愛相談得意なんでしょ?なんか相談に乗った女の子は恋がうまくいくとか〜…。」


「得意っていうか、なんていうか…まあ?」


ここ最近は忙しさにかまけて暫く相談を受け付けてなかったからか、由梨の言葉に自身なさげにそう返すと「相談に乗ってもらったら?」と、由梨は真衣にそう投げかけた。


しかし真衣は首を横に振った。


「叶わなくてもいいの。どうせ、卒業したら牧野くんは都心の大学に行って離ればなれになっちゃうし…。」


そう悲しげに呟く真衣に、2人は「そうなんだ…。」と返すことしかできなかった。


そんな暗くなった雰囲気を変えるかのように、真衣は声のトーンを上げて「それよりさ、2人の恋愛話聞かせてよ!つむちゃんは?好きな人いないの?」と投げかけた。


突然話を振られた紡木は「えっと…。」と少し考え込んでから、「いないよ、今は。」と答えた。


いつもだったら年上の彼氏がいる設定で返すが、なんとなくそうしなかった。


そうだ。写真見せてなんて言われたら困っちゃうし、誤魔化すのも面倒くさい。


そう後付けするように心の中で言い訳をした。別に、誰に聞かれてる訳でもないのに。

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