西園寺先生は紡木さんに触れたい

とぼとぼと歩いて、漸くたどり着いたクラスの教室では既に片付けが始まっていた。


そりゃそうだよな、と紡木は心の中で呟くとちょうど片付けを終えた真衣たちに声を掛けた。


「ごめん…面接練習がながびいちゃって。」


紡木がそう申し訳なさそうに告げると、2人はいいよいいよ、と笑顔で返した。


「私たち丁度帰るとこなんだ!途中まで一緒に帰らない?」


そう提案する真衣に、紡木は再び申し訳なさそうに「ごめん、今日は残ってやることがあって…。」と返した。


2人は残念そうに「そっか〜…。」というと、「じゃあ、また明日ね!」と教室から出て行った。



紡木は2人の背中を見送ると自分の席に着いて、自分の席から画用紙を取り出した。

ポスターなんて、描いたこともないけど…。

でもこうなった以上やるしかない。

紡木はそう心の中で呟いて、画用紙に筆を走らせた。


スマートフォンでデフォルメ化されたお化けの画像を検索して、それをただ画用紙にそのまんま描いていく。

ただそれだけのことなのに、慣れてないからか思ったように線を引くことすらできず、描いては消して、を繰り返した。


「あれ、まだいたの?」



突然隣から聞こえてきた声に、画用紙に集中していた紡木は反射的に身体を跳ね上がらせた。

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