西園寺先生は紡木さんに触れたい
翌日の放課後。
紡木はいつもの様にさくっと面接練習を終えて文化祭準備へ合流する…はずだった。
「紡木さんさあ…やる気ある?」
「はえ?」
面接練習担当の教師からそう突拍子のない言葉をかけられた紡木は思わず間抜けな声を上げた。
やる気…ありますけど。
あるからここにもいるんですけど。
今まで色んな教師と面接練習をしてきたが、褒められることが多かった紡木は、やる気があるのかという抽象的な指摘に少し腹が立った。
「とりあえずさあ、もう一回やってもらえる?」
「は、はい…。」
紡木は教師に言われるがまま、もう一度面接の練習を始めた。
「あの、もう、いいですか…。」
それから「なんか違う。」「本当にこの会社に入りたいの?」「もっと元気な声で。」となにかと指摘されては何度もやり直しをさせられた紡木は、ついに我慢の限界を迎えてそう息絶え絶えに告げた。
教師が少し悩んだ後に「まあいいわ。」と返すと、紡木はヨロヨロと立ち上がって、「ありがとうございました…。」と教室を出て行った。
今日に限って何でこんな詰められるの…。
教室を出る時にちらりと見た時計は既に18時前を差していた。