西園寺先生は紡木さんに触れたい
「…まあでも、大丈夫だよ。やりたいことなんて、無理して探して見つかることじゃないから…焦らないで。」
今度は真剣な声でそう紡木に伝える西園寺の言葉が、紡木の心を優しく包んだ。
先生の言葉はどうしてこんなにも落ち着いて、ストンと素直に心の中に響くんだろう。
紡木は小さく「ありがとうございます。」と呟いた。
「…そういえば、あれから、大丈夫?」
紡木は少し間を置いてから「はい。」と返した。
「母にも言って、バス通学に切り替えてます。」
紡木がそう言うと、西園寺もホッとしたように「よかった。」と相槌を打った。
「…それに、男性が苦手になった原因がわかったのもあると思うんですけど、先生のおかげで少し克服できたような気がします。」
そう言ってから「今日も、牧野くんと普通に話せたし。」と付け足すと、西園寺はあからさまに眉を顰めた。
「…僕のおかげでっていうのは本当に嬉しいけど、あんな風に2人で話してたら妬いちゃうな〜。」
そう不貞腐れて言う西園寺に、紡木は笑いそうになった。
「そんな、嫉妬するような仲じゃないですよ。」
そう笑って言う紡木を横目で見ていた西園寺は心の中で深いため息をついた。