西園寺先生は紡木さんに触れたい
「─早速本題なんだけど…。」
椅子に座るなり、真剣な目をして西園寺は語り出した。
女性経験の多そうな西園寺先生が私に相談することなんてないでしょ…。
相談されたとしても私にアドバイスできることなんてないよ…。
「僕、恋愛経験がないんだ。」
「え!?」
思いもよらなかった西園寺の言葉に、紡木は思わず大きな声を上げた。
そんな紡木に西園寺は笑った。
「あ、いや、少し語弊があったかも。僕、ちゃんと人を好きになったことがないんだ。」
「え、そ、そうなんですね。」
「うん…告白されたら付き合うし、その…誘われたら体も重ねるけどさ、自分から恋愛感情を抱いたことがなくて。
好きっていう気持ちはわかるんだ。でもそれって家族が好き、友達が好き、生徒たちが好き、と同列で。
恋愛感情ってもっと、特別なものなんでしょう?
僕に教えて欲しいな。」
そう言って、切なそうに笑う西園寺に、紡木のスイッチは自然とオンになった。