西園寺先生は紡木さんに触れたい

「…そうですね、難しいですよね。


家族も友達も、幸せになって欲しい、幸せにしてあげたい、そう思うものですよね。

でも、そこに、自分だけを見て欲しい、自分だけが見ていたい、自分だけが触れていたい、っていう気持ちがプラスしたのが恋愛感情だと思うんです。」


「う、うわあ…。」


西園寺は大きな目を揺らしながら、感嘆の声を上げた。


「僕だけが見ていたい、僕だけが触れていたい、かあ。」


「理解してもらえました?」


「うん、何となくだけど…でも、これって…。」


そう呟くと西園寺は紡木をまじまじと見つめた。


え、何?何でこんな見られてるの??


西園寺の視線に、居心地が悪くなった紡木は視線を外へと移した。


そういえば今日梅雨明けって言ってたのに。


外は雨がしとしとと降っていて、傘持ってきて正解だったな、なんて気を紛らわすかのように呑気に考えていた。

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