西園寺先生は紡木さんに触れたい
暫くして紡木は目を覚ましたのか、なにやら保健室の先生が話している声が保健室に響いた。
「あ〜…まあ、紡木さんにならいっか。…西園寺先生がいるのよ。」
不意に自分の名前が呼ばれた西園寺は、びくりと肩を揺らした。
別に紡木さんに知られたところで、彼女が僕に執着がないのを知っている。
西園寺は自分にそう言い聞かせてスルーしようとすると、
「あれ、紡木さん知らないの?」
「んー…多分?」
西園寺は思わず目を見開いた。
あは。いや、まあ。
好かれてはないな、とは思ってたけど。
まさかそんな。
存在すら覚えられてない事なんてある?
僕は何度も助けられてると言うのに…。
予想外の紡木の反応に西園寺は心の中でそう呟いた。