西園寺先生は紡木さんに触れたい

「ありがとうございました。」


「あら、ちょっとは休めました?」


紡木が教室に戻ってから少し経ったころ、西園寺はゆっくりベッドから起き上がると、保健室の先生にお礼をした。


「ええ。それより、紡木さん、気を失ってたんですか?」


「あら、聞こえてたんですか。」


「すみません…一体どうしたんですか?」


「…それはプライバシーに関わることなので。」


そう言って人差し指を口に当ててお茶目に笑う先生に、西園寺は首をかしげるだけだった。



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