西園寺先生は紡木さんに触れたい
いちごミルクと書かれたピンクのパッケージのそのジュースは西園寺の手にももう一つ握られていた。
「あ、苦手だった?」
パックジュースも前に固まっている紡木に、西園寺は不思議に思ってそう聞いた。
「え、いや、なんか…。」
「ん?」
「…飲んだから、付き合え、とか脅迫しないですか…?」
パックジュースをじっと見つめながら至って真剣な顔でそう呟く紡木に、西園寺は思わず吹き出した。
紡木はそんな西園寺に睨みをきかせたが、西園寺の笑いは止まらなかった。
「僕、どんだけ危険人物なの。」
ヒーヒー、と言いながら能天気に笑い転げる彼に、紡木は更にムッとした。
「そんなことしないから、安心して。」
ひとしきり笑った後、柔らかい声でそう言うもんだから、紡木は猜疑心をかなぐり捨てて飲むことにした。