西園寺先生は紡木さんに触れたい

次の日の放課後も当然の如く雑用係の仕事が待っていた。


紡木が準備室の戸を叩いて声を掛けると、中から入るように促された。


「いやあ、ありがとね〜、助かっちゃうなあ。」


「はあ…。」


「じゃあ、昨日の続きから宜しくね。何かあったら声掛けてね。」


そう言って西園寺はパソコンに向かって仕事を始めた。
紡木も椅子に腰掛けると、昨日の続きから作業を始めた。


西園寺がカタカタとキーボードを叩く音と、紡木がホッチキスで紙を止めるパチパチという音だけが準備室に響いた。


昨日と違って紡木に話しかけることなく、パソコンに向かう西園寺に、紡木は内心ほっとしていた。


それもそのはず。約2週間後に控えた期末テストの問題作りに西園寺は頭を抱えていた。


化学自体は好きだし、それを教えるのも好きだ。

学校の行事の指揮を取るのは面倒くさいことも多いけど、生徒が楽しんでいる様子を見るとやってよかったなと思うことも多い。


ただ、テストだけはなあ…。

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