西園寺先生は紡木さんに触れたい

「っ…!?」


そう思ったのも束の間、西園寺は今度こそハッキリ紡木の方を見てにやりと笑った。


バ、バレてた…。
最悪。


そう心の中で呟いて俯いた。



『今日の放課後、僕少しだけ抜けてるけど勝手に入って作業進めててね!』


昼休み、紡木は何の気なしもなくスマホを開くと、急に送られてきたメッセージに思わずスマホのディスプレイを落として、キョロキョロと周りを見渡した。


そして周りに誰もいないことを確認すると、再びそのメッセージを開いた。


『了解です。』


そう淡白なメッセージを送って、ふうとため息をついた。


「おーい、つむちゃーん!」


後ろから聞こえてきた声に、紡木は大きく肩を震わせて瞬時にポケットにスマホを押し込んだ。


「やっほ!」


振り向くとそこには葵がこちらに手を振っていた。


「あ、ちょっと葵!私年上の彼氏を紹介するなんて言ってないんだけど!」


「え〜いいでしょ?別に減るもんじゃないしぃ。それともなんか問題でもあんの??」


「えっ…いや…。て、てか、そのせいで霧島くんに殴られそうになったんだから!」


紡木はそう適当に誤魔化すと、葵はけらけらと笑って「聞いた聞いた。」と返した。
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