西園寺先生は紡木さんに触れたい
元々勉強なんて好きじゃないし。
化学なんてもっと好きじゃないし。
てかなにこれ、呪文?
logって何?化学じゃなくて英語のプリント混ざってない??
あーあ。
せっかくネイルも新しくしたのに
先生は気づいてくれないしさ〜。
あ、私が今真面目にやってるところ
先生は見てくれてるかな〜!
葵はそう思ってこっそりと西園寺を盗み見ると、これでもかと優しい微笑みを浮かべていた。
でもその微笑みが自分ではなく、紡木に向けられていることにすぐに気がついた。
それは誰が見ても『愛している』という気持ちが明確にわかる。
う、うわ〜。
これ、完全に脈なしじゃん。
いやまあ、ケイト先生ってイケメンだし、優しいし、年上にある余裕な感じ?が好きなだけで、本気で好きか?って聞かれたら、考えちゃうけど…。
葵が考え込んでいると、「遠藤さん、どうかした?」と西園寺が近づいてきた。
その顔は、確かににこにこはしているけど、その他大勢に向けられているものと何ら変わらない表情で、葵は改めて確信した。
ケイト先生って、ツムちゃんの事が好きなんだ〜。
ふうん。
そう思いながらじーっと西園寺を見つめていると、彼は苦笑いを浮かべて「どうした?」と聞いた。
「ううん、なんでもなーい!」
葵はそう言うとプリントに向き合うふりをして話を終わらせた。