雪の国の恋、とけない魔法
ハジメテの夜
✴︎ハジメテの夜✴︎
しばらくして、美紀が酔って帰ってきた。
ピンポンが鳴って、美紀かなってドアを覗いたら、他にも人影。
薄く扉を開いてのぞいたら、美紀が藤枝さんに連れられていた。
花梨のななめ正面の部屋が藤枝さんと上月さんの部屋だ。
そこのドアも開いて、上月さんが顔を出した。
上月さん部屋にいたんだ。
「夜にごめんね。美紀ちゃんと入っていい? 」
と藤枝さんに聞かれた。
「大丈夫ですよ? 」
扉を大きく開けて押さえて、藤枝さんが美紀を支えなおして、美紀はちょっとよろってしているが大丈夫そうかな、チラリと花梨を見て、(ごめん! )って口が言って、
「翔さんといていい? 」
って小さく聞かれた。
「えっ? 」
そのまま、支えなかったら、ドアは自然にゆるり〜って閉まってきて、パタン。
「あっ」
右手をドアに伸ばしたまま、
あれ、
閉まっちゃった。
えっと。
オートロックかかってます⋯⋯ 。
廊下に立ち尽くす。
えっ?、
どうしよう。
看病中?
正面の部屋の上月さんが、
「締め出し」
って言った。