幼なじみじゃ、いられない。

「それじゃ、行こっか」


そう言ってこっちに差し伸べられた手。


「あ、うん……」


ドキドキしながらあたしも手を差し出すと、りっくんはその手をキュッと握って歩き出した。

そして、ニコリと優しく微笑むりっくんに、あたしはまた顔を赤くする。


「今日さ、実は楽しみでちょっと寝られなかったんだ」

「え、ほんとに?」

「うん、ひなの誕生日なのにごめん。俺の方がプレゼント貰ってるみたい」


繋いだ手を軽く持ち上げて、はにかむように笑うりっくん。


「でも、ひなにも喜んでもらえるように頑張るから」


続けられた言葉に、あたしはふるふると首を横に振る。だって、


「あたしの方こそ、もう既に嬉しいよ」


りっくんはいつだってとても優しくて、あたしの欲しい言葉をくれる。

こうして一緒にいるだけで、これほど喜んでくれる人は他にはいないと思う。


りっくんと『恋人』として、初めて過ごす誕生日。

風は冷たいけど、空は透き通った青がどこまでも続いていて気持ちが良くて。

きっと今まで過ごしてきた中で、一番素敵な誕生日になる……そんな気がしていた。
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